『ドラキュラ百科』

| 著作者・編集者 | [著作者・編集者] | ||
|---|---|---|---|
| 出版年 | 1980年 | ||
| 大百科度 | [大百科度] | ||
アメリカではここ数年ヴァンパイア(ドラキュラ)ブームに湧いているようですね。最近はティム・バートンが撮ったり、ついに岩井俊二が撮ったりと”密かなブーム”のひとつです。
1920年代から何年かに1度ドラキュラブームというのが来るらしく、何度目かのブームの頃に書かれたのがこの「ドラキュラ百科」。著者は芦屋小雁さんです。
芦屋小雁さんといえば裸の大将でお馴染み芦屋雁之助さんの実弟で夫婦生活が破綻してしまうほどのホラー映画オタクとしても有名ですが、そんな小雁さんの渾身の力作であります。
この本は文庫本より少し小さいサイズの装丁の豆たぬきの本という子供むけのシリーズなのですが、内容の濃さから全く手を抜いていないのが分かります。それを証拠に最後に出てくる参考文献の多さときたら!
基本的には古今東西のドラキュラ・吸血鬼映画を分析し、ドラキュラ像を浮き彫りにしていくといった内容。ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」の元祖ドラキュラというよりも「吸血鬼ドラキュラ」を下敷きにした数多くのドラキュラ映画をひとつの物語としてとらえているので様々な顔を持つドラキュラ像ができあがったようだ。
様々なドラキュラ作品を紹介しているが、それぞれを横断してドラキュラ作品としてひとつの大きな物語と捉えているスタンスが面白い。
目次は大きく7つに別れている。
1.ドラキュラ面白事典
ドラキュラの犠牲になった人たちは?ということでドラキュラの魔の手にかかった女性を紹介している。ミナ、ルーシー、シンディ、ニーナなどがその被害者とのこと。
「昔は犠牲者も人前で裸身をさらけだすことはなかったけど、現代になるにつれポルノじみた姿態をとるようになったのは時代というもんでしょうか。」とユーモアをみせている。
あと、弱点をあげながら、ドラキュラは銀製品が弱点なので家中の銀製品を一度点検しておくとかニンニクをいっぱい食べて血液までニンニク臭くしておくとかドラキュラ対策も教えてくれている。
ちなみに退治方法はあなたがとびきりの美人ならと前置きあるが、襲ってくるドラキュラに身をゆだね朝まで夢中にさせる。そして、カーテンをあければ太陽に弱いドラキュラは朝日に焼かれて灰にになるとのこと。ただし、雨が降っていたら効果が期待できないのでくれぐれも天気予報には注意してとのこと。また、北側、西側の部屋ではそもそも日が差し込まない。「うっかりしやすいところだから気をつけよう」とのこと!
他にもいろいろ息の根を止める作戦を教えてくれる。実際の成功例をもとにしているから説得力もある。でも、何度やっつけてもいつの間にか生き返ってしまうのがドラキュラだということです。
他にも、棺桶の徹底研究やライフスタイル、ドラキュラの女性観などがまとめられている。
2.吸血鬼の伝説
吸血鬼のルーツを探る。
世界各地の吸血妖怪を紹介しつつギリシャ神話に辿り着く。そしてキリスト教との関係まで迫る。
なんでも1823年に『吸血鬼ドラキュラ』の作者ストーカーの国イギリスでは自殺した人間の心臓に杭を打ち込む事を禁止するという法律が施行されたらしい。
これはそれまで、「自殺した人間は不死者(吸血鬼)になると広く信じられていた」らしく墓から起き上がってこないように杭を打っていたそうな。
吸血鬼は実在するのか。その問いには宗教的見地、医学的見地などで論争が起こったそうだ。
宗教的見地は吸血鬼は存在せず恐怖によって生み出された想像の産物とした。
医学的見地はペストではないかと言っている。症状が一致するのと吸血鬼事件の発生地がペストの流行地域と一致することからだそうだ。
棺桶の中で腐敗しない死者がいてそれが吸血鬼だという説があるが様々な状況が重なると死者はきわめてゆっくりと腐敗するので腐敗していないように思われるとのこと。
様々な研究の結果、吸血鬼は想像の産物と結論づけられたのだそうだ。
「だが・・・、1913年ドイツのとある村で9人の家族が吸血鬼に教われたという報告がある」と次の項に続くのです。ワクワク。
3.実在したドラキュラ
4.吸血鬼小説大行進
5.ドラキュラ映画大全集
映画と現実を混同しているような表現も見られて頭がクラクラしてしまいます。
小雁さんはいつもホラーやSF映画を観ている時は実際こういうことが起こったらどうなるだろうと想像して悦に入っているのかなと思えたりしてオタクっていいなと感じたりもするのです。
6.舞台と芝居のドラキュラ
7.漫画になった吸血鬼
豆たぬきの本という子供向けの本にも手加減せずに真剣に取り組んでいる著者の熱さを感じます。子供の頃に出会ってたら人生変わったかもと思うほど。これを読めば一通りドラキュラのことが分かったような気になります。「百科」と控えめなタイトルですがこれこそ「大百科」と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか!
- 書籍データ
- 出版年
- 1980年
- ページ数
- 全 ページ
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