『吉本芸人大百科』

著作者・編集者[著作者・編集者]
出版年1992年
大百科度[大百科度]

1991年に週刊読売で連載されていた「月亭八方の芸能界八方美人」をまとめたもの。
タイトルさながらの八方美人ぶりでブリブリ執筆する八方氏。
座布団の上で語っているような文体はとてもほんと井戸端でおばはんが喋っているかの様。
91年なのでバブル崩壊前夜。
第1章から第4章まで分かれているけどどういう区分かさっぱりわからん。
時系列もバランバラン。

第1章 大阪は愛の水中花
芸人のやさしさに目立つ第1章。
西川きよしに横山ノックの八方の椎間板ヘルニアへの対応や、バイタリティあふれる桂三枝と大物が出てくる逸話がそろう。
吉本の林正之助、八田竹男(八方の八はこの八田氏の八からとってるとのこと!)、若井小づえのお母さん、松本竜介のお母さん、滝あきらなど誰かが死んでその通夜こと死者のパレードでの爆笑ネタのオンパレード。坊主のお経より笑いであの世へお見送りの風習こそが芸能のルーツであるかのよう。
八方の月亭可朝リスペクトを書き連ねるこの章だけでもこの大百科は読む価値あり!

第2章 家庭より友情を大切にする不思議
第2章はよしもと芸人以外の交友関係の話が多い。
この頃の月亭八方は関西では月〜金の帯番組をやり、テレビで見ない日はないぐらいの人気者。本人も第2の黄金期と呼んでいる。ちなみに第1期はヤングオーオーの時代。
なので交遊録も全国区の沢田研二、うつみ宮土理からめちゃローカルな河内音頭の河内光博や森進一のものまね芸人森進五までと幅が広い。
話としては桂ざこばがなべおさみのケツに比べて自分のは汚いと嘆く立川談志一門会の打ち上げの席の話が素晴らしい。
なべでいうと、てか、ざこばでいうと

第3章 迷惑駐車と阪神タイガース
この章は、野球を中心にスポーツの話題が多い。
トラキチガイ(以下トラキチ)で知られる八方氏ならでは野球論や長嶋茂雄とバルセロナ旅行の異次元比較などが行われる。
ちなみに91年ごろは阪神といえばべべ→ベベ→ベベ→ベベ・・・。共通語で万年最下位。そして、翌年がバルセロナでオリンピック開催。
世間はそろそろバブルがはじけだしているが庶民のバブルはふくらんでいてゴルフはバブルのアナグラムと言わんばかりにみんなゴルフに熱中時代。芸人の楽屋も麻雀牌のジャラジャラはなくなりみんなゴルフの話をしていたとか。へ八方氏の熱の入れようもすごかったようです。
意外な登場人物でさだまさしが出てきて教えを請う八方氏にゴルフボールを大切に扱う話を力説する場面もある。

第4章 おかしくも悲しい恋の物語
最後の最後に中3の息子とオーストラリアへふたり旅した話がでてくる。
カジノで勝ったというとくにどうってことない内容だが、そのふたり旅で息子と初めてゆっくり話をしたそうだ。
で、その息子が月亭八光になるわけで現在を知って読むとなかなか味わい深いものがあった。

出てくる芸人はナインティナインからダウンタウンから阪神巨人にぼんちのおさむ。古今亭志ん朝、横山ノック、上岡龍太郎、チャンバラトリオに江夏豊・・・まだまだ続く大百科級の濃い面子。
確実に世界の何処かに存在した91年をみごとに切り取った記録の一面もあり、未来に残すべき大百科でありました!

書籍データ
出版年
1992年
ページ数
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